おいらの人生これから、こらから・・持病に負けず、老いにも負けず・・リタイヤ爺の独り言

なっちゃんの帰郷 (2)


翌日おいらは、集まりの時間よりも一足先に、太一の店ワ
ンショットバー蘭に着いた、昨日の狂ったような暑さが嘘
のような今日の気温は18℃、当然夜の7時ともなれば寒
さが身に沁みる、案の定店は暖房が入っていた。

ほっとする薄暗い空間の奥から、珍しくピアノの音が聞こ
える、楓ちゃんだ、彼女は昔から帯広のホテルのエントラ
ンスやクラブを掛け持ちでピアノを弾いている、数年前に
体を壊しピアノ弾きは廃業したのだが、太一のこの店では
たまに顔を出し、ジャズを奏でる。

そもそも此処のピアノは昔から彼女専用なのだ、もう遥か
昔の事なのだが、太一がこの店を始める時ホテルのエント
ランスの片隅でピアノを弾いていた彼女に自分の店で演奏
してくれるように頼み込み、狭いバーの奥にグランドピア
ノまで用意したのだ。

あれから30年あまりの歳月が過ぎたが太一と楓ちゃんは
相変わらず関係を保っている、太一がこの店を始めた時は
すでに結婚して妻も子もいたのだが、楓ちゃんは独身、学
生時代バスケのキャプテンだった太一は長身の二枚目、楓
ちゃんが惚れるのにそんなに時間はかからなかった。

好きになっちゃったのはしょうが無い、でも太一には妻も
子も、一方、太一はと言うと彼女は店のムードメーカー的
な良きパートナー、歳も7つ離れているので妹みたいな存
在だったかは定かではないが、ともかく不倫には似合わな
い性格。

好きな男に恋を打ち明けられず、矛先は彼の親友であるお
いらに、太一への恋心をおいらにぶちまけ、おいらの胸で
泣きじゃくる彼女、犬も食わない他人の恋路をたっぷり食
わせられ、太一には内緒にしてくれと口封じされて、おい
ら二人の恋路の板挟み、そんな事が4、5年続いた。

それから太一への思いを抱いたまま楓ちゃんは、札幌のド
クターと結婚、この時の彼女は結構不届きな女だった。

本来二人の関係は可もなく不可もなくここで途切れるはず
であったのだが、不幸な事に彼女の旦那が、ドクターなの
に白血病に気ずかず、気ずいたときは手遅れで結婚3年目
で死んだ。

その翌年札幌の自宅を手放し帯広に帰ってきた、あの時丁
度カウンターで飲んでいたおいら達の前にやつれた楓ちゃ
んが現れ、そして今度は太一の胸に埋まり泣き崩れた、そ
れから又色々あったのだけれど今となっては懐かしい思い
出だ。





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獏(ばく)は、中国から日本へ伝わった伝説の生物。人の悪夢を喰って生きると言われてます。どうぞ悪夢を見た時はここに来て「この夢をばくにあげます」とコメントして下さい、そうすれば貴方は、その悪夢を二度と見ずにすむ事でしょう。

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