おいらの人生これから、こらから・・持病に負けず、老いにも負けず・・リタイヤ爺の独り言

なっちゃんの帰郷 (8)



ボックスに移った彼女達はすっかりあの頃のに戻っていた。

「まるで井戸端会議だな」

仲間外れのおいらは憮然とする。

「それじゃ叔父さん二人を独り占めしちゃうかな」

楓ちゃんがおいらの隣に席を移してきた。

「いらっしゃいませ」

太一の声で40年前の乙女達が声を潜めた、入ってきた来
たのは若いカップルだ、二人は太一に挨拶をすると左奥の
カウンターに席を取った、楓ちゃんがさりげなくピアノに
向かい若い二人の為にポップスをジャズ風にアレンジして
ソフトに奏でる、賑やかだった店内は何時ものシックなム
ードに戻った。

若者達はここで何度か一緒になっている、太一はキープボ
トルを手に「何にします」と彼女に声をかける。

「ブルーラグーンを」

手元のメィニューを開かずお決まりのように彼女は答える、
「いつものね」、「はい」、太一が用意し出すとなるほど
と思った、ウォッカとブルーキュラソーを落としてレモン
ジュースをたっぷりだ、シェィクのリズミカルな音を楓ち
ゃんのピアノが太一のその音を追いかける。

ブルーラグーンのカクテル言葉は誠実な愛、そんな言葉を
知ってか知らずか、ロックグラスとさわやかなブルーのカ
クテルグラスのクリスタルな乾杯の音は、この歳になると
ちょいとこそばゆかった。

「所でさっきの、翔太は知ってたの」

井戸端会議からはずれてトモが隣に戻ってきた。

「なにを」

「あの事よ」

「あの事って」

「太一となっちゃんのことよ」

トモは二人の何を知ってるんだろう、おいらが今まで気に
なっていた、花火大会の出来事や東京のバーでの事は、お
いらだけの思い出かと思っていたのだが、そうではないら
しい。

「なんだやはり何かあったんだ」

おいらは太一の視線を感じながらトモに聞き返した。

「もお遠い昔の事だから言っちゃってもいいよね」

トモは太一を見上げて同意を求めた。

「それじゃ私からお話しさせて」

いつの間にかなっちゃんが、背後からおいらの肩に手をかけ
ていた。



オオキッド002






人気ブログランキングへ


関連記事
コメント
コメントの投稿
【Font & Icon】
管理者にだけ表示を許可する
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

中高年よ大志を抱け
クラーク02
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
プロフィール

ばく

Author:ばく
獏(ばく)は、中国から日本へ伝わった伝説の生物。人の悪夢を喰って生きると言われてます。どうぞ悪夢を見た時はここに来て「この夢をばくにあげます」とコメントして下さい、そうすれば貴方は、その悪夢を二度と見ずにすむ事でしょう。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

参加してます。
カテゴリ
最新記事
月別アーカイブ
のぞき部屋
検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
言葉は力

presented by 地球の名言

         
ばくの本棚
TOEICボキャドリル